2023/11/07

サステナ車両からの連想

西武鉄道が「サステナ車両」として、東急電鉄・小田急電鉄から車両の有償譲渡を受けて支線区の車両更新を進めるいうニュースを見て連想した。それは住宅にもサステナブルな発想が必要ではないかということだ。
日本の戸建て住宅は新築中心で長年の使用には不向きなものが多いように見える。当初からライフサイクルを考慮して、長期的な視点に立って住宅を整備しても良いのではないだろうか。方向性としては、①住居系の区分の見直し、②土地の所有と分離、③SI住宅建設の推進である。
今回は③SI住宅について述べてみたい。ここでいうSI住宅とはスケルトン・インフィルを分離するのはもちろんだが最低60年の使用を見込んで、当初から長期修繕計画や解体までを考慮して建設する集合住宅である。15年ごとに修繕し、15年は新築時への回復、30年でリノベーション、45年でリノベ時点への回復、60年で継続使用か解体を判断するのである。
断熱性・遮音性を確保するために規格を厳重に設定し、標準化を進めてメーターモジュールを採用し、広さは内寸30・60・90・120平米に統一。建材・設備も極力規格化を進めリサイクル性を考慮するのが良いと思う。

例えば戸建て住宅を維持するのが難しくなってきたシニア層向けに、戸建て住宅を引き取る形でSI住宅の一室を提供する。公的部門に土地を集積することで、土地の所有権と利用を分離して使用権のみを分譲する住宅を作る。使用権を分譲することで建設費を回収する。
こういったアプローチで介護に関わる問題や空き家問題などを緩和できるのではないか。いずれにせよ国や地方自治体がオーケストレーターになって、建設・修繕、銀行、介護などさまざまな規模・分野の民間企業を組み合わせた大掛かりかつ継続的な公共事業になる。