2010/08/29

京浜急行電鉄1000形(1129編成)

 早いもので新1000形も2001年度に製造を開始してから10年目を迎えます。2007年度の6次車からステンレス車体となり、増備を継続しています。2010年度の増備車は10次車となり、8両編成3本と4両編成1本が製造されています。
 車内にはトレインビジョンと呼ばれる17インチの液晶モニタ2基が出入口上に装備されています。JR東日本のE233系や東急5000系などでおなじみの設備ですが、電車の中は密室でもあり、意外と見入ってしまいますね。
 性能的には変化がないようですが、乗務員支援のためのモニタ装置等の充実が図られています。私は新1000形のステンレス車が走る姿を見ると台車の重量感を感じますね。健脚というか、がっしりと重みを支えているように感じます。
 写真の1129編成は2010年6月に東急車輛で完成したものです。成田空港から三崎口まで、北総・京成・都営・京急の4社をまたいで広範囲に運用されています。撮ろうと思って待っていると来ず、忘れた頃に現れるようなそんな按配です。

2010/08/28

京浜急行電鉄600形(654編成)

 600形電車の最終グループである1996年度の増備車では、機器や座席配置の見直しが行われています。8両編成のほか、4両編成も新たに製造されています。
 主電動機の出力を従来の120kwから180kwに増強して、MT比を1:1に下げています。その他補助電源装置も容量を増大化して集約しています。シンプルな機器構成を採用してコストダウンを図っているわけですね。またパンタグラフがシングルアーム式になっているので、従来の600形とは容易に識別できます。
 座席配置は、機構が複雑となる可変座席を廃止して、扉間は4人掛け1区画と2人掛け1区画からなる固定式の腰掛を採用しました。座席配置が変更になったため、側窓の分割位置が変更されています。
 写真の654編成は1996年4月に川崎重工で完成したもので、600形の4次車に相当します。5月に運転を開始したエアポート急行にも使用されているので、目にする機会が多くなっています。

2010/08/27

京浜急行電鉄600形(605編成)

 京浜急行600形電車の正面のアイボリーの部分は、最初はグレーに塗装されておりました。1995年7月から、現行のアイボリーに順次変更したそうです。
 私佐野次郎は当時仕事でほぼ毎日京急を利用していたのですが、正面窓周りをグレーに塗った600形をナマで見た記憶がまるでありません。むしろ空港線を走る北総線のゲンコツ電車や、北総鉄道にリースされて銀色に塗られて走っていた元京急1000形の記憶が残っています。
 若いころ炎天下も寒い日も雨の日も歩き回った、大森町・梅屋敷・京急蒲田・糀谷の各駅も高架化で大きく姿を変えつつあります。また空港線も1980年代には名前ばかりでしたが、今では空港アクセスとして立派に機能し、隔世の感がありますね。
 写真の605編成は1995年3月に東急車輛と川崎重工で完成したもので、600形の2次車に相当します。2009年3月に京急ファインテックでロングシート化改造されました。その際に扉上に液晶画面の情報案内装置を装備しています。

2010/08/23

京浜急行電鉄2100形(2141編成)

 猛暑には冷たいビールをクイッとやりたくなるのが人情ですが、そこであえて熱い番茶を飲んだりすると「む、これはうまい」ということになります。
 クーラーの効いた部屋で休むのも快適ですが、暑い外に出て「撮り鉄」に励むと夜はぐっすりと眠れたりもします。ボディと望遠レンズで1.5kg以上あるカメラを使って炎天下で撮影するのはある意味でスポーツです。もちろん三脚など使わずすべて手持ちです。飲み物を用意したり、日陰で待機したりと熱中症対策は欠かせませんね。
 京浜急行の新大津駅付近は、静かなところでゆっくりと京急の快特を撮影できるところです。駅に併設されている売店で飲み物を買おうとすると駅員さんが店員さんを兼ねていたりと、京急ではもっとも静かな駅の部類のようです。
 写真の2141編成は1999年4月に東急車輛で完成したもので、2100形の3次車に相当します。

2010/08/22

東京地下鉄08系(08105F)

 2003年3月、半蔵門線の押上延長・東武線への相互乗り入れ開始を契機として、営団地下鉄では半蔵門線用としては2世代目の電車となる08系60両〈10両編成6本〉を投入しました。
 東西線用の05系11次車と仕様の共通化を図ることにより、コストダウンを図っています。客室内のレイアウトも05系と同じですが、配色は08系独自のものになっています。
 私は8000系の印象が強かったせいか、08系のデザインはどうかなどと思っていましたが、最近08系のカッコよさがわかるようになってきました。
 写真の08105Fは、2003年1月に日本車輛で完成したものです。田園都市線を走る電車の中ではもっとも鋭角的なデザインですね。

東京地下鉄8000系(8108F)

 根岸線の103系を見て育った私にとって、営団地下鉄の千代田線6000系や有楽町線7000系電車はずいぶん先進的な電車に感じました。銀色の車体に、左右非対称の大胆なデザイン。父が撮影してきた写真を見て、東京には凄い電車が走っているんだなと思いました。当時私は小学生でしたが・・・・。
 1980年に登場した半蔵門線用の8000系は、6000系の発展形です。1段下降式の側窓や冷房準備装置などの仕様は同時期に製造された6000系・7000系にも反映されています。
 主回路は7000系と同じくAVFチョッパ制御を採用していますが、冷却装置など各所に改良を施しています。また台車は現在多く採用されているボルスタレス台車を初めて実用化しました。
 写真の8108Fは1982年11月に近畿車輛で完成したもので、8000系の2次車に相当します。1988年に中間車2両を増結して現在と同じ10両編成となっています。

東武鉄道50050系(51063F)

 田園都市線の中でも東武50050系はオレンジ色のアクセントのせいか、よく目立ちます。いかにも新しい電車だという気がしますし、走行音もたいへん静かです。
 同じ形式の電車でも製造年次の違いにより、仕様の差異があります。50050系も2009年度の新造車では改良により仕様が変更されています。
 扉間の窓を開閉可能とし、屋根上の換気装置をなくしています。またバリアフリー対応を強化したことで室内の配色を一部変更しています。またドアの内側脇の手すりが東京メトロ10000系などと同様に湾曲した形状でしたが、通常の形状に改めています。
 写真の51063Fは、2009年2月に日立製作所で完成し、南栗橋車両管理区に新製配置されたものです。

東武鉄道50050系(51051F)

 東武50050系電車は、2006年3月のダイヤ改正から営業運転を開始したもので、現在も製造が継続されています。2004年度に東上線に投入された50000系電車の派生形式です。
 車体はアルミニウム合金のダブルスキン構造としています。乗り入れ先の東急田園都市線の中においても無塗装のアルミ車体の美しさがよく目立ちます。また東武伊勢崎線・日光線では初めての10両固定編成となっています。
 制御装置はPWM方式の2レベルVVVFインバータ制御装置、補助電源装置にはIGBT素子を使用した低騒音静止形インバータを採用しています。また台車はZリンク方式ボルスタレス台車を装備しています。私もこの電車は走行音がたいへん静かだと感じます。
 写真の51051Fは2005年11月に日立製作所で完成したもので、50050系の第1編成です。最近はマンションの広告を車体に貼り付けて走っています。

東武鉄道30000系(31606F)

 東武鉄道30000系電車は、営団地下鉄半蔵門線への乗入れに対応するため1996年から2003年にかけて150両〈6両・4両編成15本〉が製造されました。半蔵門線が押上まで延長される前には、伊勢崎線の浅草口で使用されていました。2003年3月から半蔵門線・東急田園都市線との相互乗り入れ運転を開始しました。
 30000系の車体は軽量ステンレス製で、レイアウトは10000系をもとにしていますが、前面デザインは新しくなっています。スカートの形状も含めて独特な風貌となっています。また分散型3個というクーラーの配置も独特です。
 主回路はIGBT-VVVFインバーター制御を採用しています。また東武では初めてワンハンドルマスコンを採用した電車でもあります。その他シングルアーム式のパンタグラフや、LEDの行先表示など最新のデバイスを装備しています。
 写真の31606Fは1999年11月に東急車輛で完成したものです。まだまだ新しい30000系ですが、50050系に代替されて地上線への転用が進んでいます。中間に運転台があってその分客席が少ないのがその理由だそうです。それだけ田園都市線は混雑するということですね。

2010/08/20

長津田「しぶそば」のカレーライス

 「撮り鉄」に出かけるときにお世話になることが多いのが、駅そばです。早く撮り始めたいという気持ちがありますので、早い時間から営業していて、駅の中にある駅そばはありがたい存在です。
 駅そばにもいろいろなお店があるのですが、頭一つ抜け出ているのが東急電鉄の系列会社が運営している「しぶそば」です。私は田園都市線の撮影に出かけるときによく長津田店に立ち寄ります。そばがおいしく、スタッフがきびきびと働いているのが好印象です。
 お気に入りのメニューは写真のカレーライスです。だしをベースにしているのがよくわかるカレーがご飯によく合います。お蕎麦屋さんのカレーってこうだよなと思える味です。
 残念ながらダイヤ改正、もといメニューが改定され、現在ではカレー丼にリニューアルされています。あくまで個人的な感想ですが、カレーライスの頃のほうがよかったかな?と思っています。ちなみに今の時期は冷やしきつねそばなどがお勧めです。おいしくって胃腸にもやさしいです。

2010/08/17

東京急行電鉄5050系(5165F)

 東急東横線といえば8000系の印象が強いのですが、いつの間にか5050系が主力となってしまいました。この頃は比較的新しい電車と思われた9000系も大井町線への転用が進んでいます。
 5050系は田園都市線に2002年から導入されている5000系を8両編成とし、わずかながら車体を拡幅したものです。またラインカラーは赤のほか、東横線用であることを示す桜色のラインを引いています。デザイン的にはよくできている電車だと私は思っています。
 客室は暖色系でまとめられていてピンク色の座席が目立ちます。また出入口の上には液晶モニタが付いていますが、乗車していると意外と見てしまいますね。中づり広告とは違い、絵が動くからでしょうか?
 5050系は2004年3月から1次車が東横線での営業運転を開始しました。写真の5165Fは2006年9月に東急車輛で完成したものです。

2010/08/15

東京急行電鉄5000系(5112F)

 東急5000系は、東急の標準型車両として2002年から製造されている電車です。2003年に目黒線用5080系、2004年に東横線用5050系という派生形式を生み出しながら製造を継続しています。ただし現状では東京メトロ副都心線への2012年相互乗り入れ開始を控える東横線用の投入が優先されており、田園都市線への投入は休止されています。
 5000系は「通勤・近郊電車標準仕様ガイドライン」に準拠した車両で、JR東日本と東急車輛が共同開発したE231系電車を設計の基本としています。経済成長の鈍化により、鉄道の利用者数の増加を期待することが難しくなり設計や製造工程の標準化によるコストダウンが重要視されていることがよくわかりますね。
 とはいうものの東急独自の要素も多く残り、車体はフラットでE231系のような裾絞りは採用していません。また走行機器については目黒線の3000系のシステムをIGBT-VVVFインバーター制御に発展させたものになっています。
 写真の5112Fは2007年5月に東急車輛で完成したものです。編成中に3両の6ドア車を組み込んでおり、朝ラッシュ時の準急には同じ構成の5000系電車が集中的に使用されています。

東京急行電鉄2000系(2001F)

 田園都市線2000系は、1992年にラッシュ時の輸送力増強を目的として導入された車両です。当時の東急は車両を製造してから40年から50年使用するという方針でしたので、8000系などの更新が盛んに行われ、2000系の製造もわずか30両〈10両編成3本〉で終了してしまいました。少数の車両ですので、非東武乗入れ車となっています。
 車体はステンレス製で1986年から製造された東横線用の9000系に準拠したものです。ただし新しい試みとして、新製当初から車イス用のスペースを設けたり、座席の中仕切りに垂直の握り棒を設けたりしました。最近の新車では標準となっている設備ですね。またクーラーカバーの形状が9000系とは異なっています。
 制御装置は8642Fの0718号車で採用したものと基本的に同一のVVVFインバーター制御を採用しています。また台車は円筒積層ゴム式のTS-1011形台車を独自に装備しています。走行機器については9000系を基本としつつコストダウンのための工夫をしているといえそうです。
 写真の2001Fは1992年3月に東急車輛で完成したもので、2000系の第1編成に相当します。2004年に車内に情報案内装置を増設しています。

東京急行電鉄8590系(8695F)

 田園都市線用の8590系電車は20両〈10両編成2本〉だけが在籍しており、非東武乗入れ車となっています。その他8590系電車は大井町線用として15両〈5両編成3本〉が在籍しています。
 8590系電車は東横線のみなとみらい線への直通に備えて、1988年に貫通路を備えた先頭車10両を新製して、8090系の中間車と8両編成5本を組成したものです。2004年2月のみなとみらい線開業には予定通り使用されました。
 当初は東横線で9000系とともに急行専用で使用されていましたが、1997年3月以降最大で3編成が10連に組み替えて田園都市線で使用されました。このときは2003年3月までに東横線に戻っています。
 写真の8695Fは東横線への5050系電車の導入に伴い、2006年9月から再び10連に組み替えられて、田園都市線で使用されています。

2010/08/14

東急急行電鉄8500系(8642F)

 8500系の最終編成である8642Fは、編成中に界磁チョッパ制御とVVVFインバーター制御の電動車が混在するという異色編成となっています。特殊な編成ということで、非東武乗入れ車両となっています。
 外観については、他の8500系電車と何ら変わるところはありません。また全車両が軽量構体車となっています。8606Fと同様正面貫通路に非東武乗入れ車であることを示すKマークを掲示しています。
 8642FのVVVFインバーター制御車は0802.8799号車が界磁チョッパ車の改造、0818.0718号車がVVVFインバーター制御車として新造されたものでいずれも日立製作所製のVVVFインバーター装置を搭載しています。
 8642Fは1987年8月に東急車輛で8連で完成し、1991年3月に東急車輛で完成した0818.0718号車を組み込んで10連化したものです。最近分散型クーラーの一部を換装したようです。

東京急行電鉄8500系(8635F)

 8500系は1975年から1991年にかけて400両〈10両編成40本〉と、長期に渡って製造された車両ですので、途中でマイナーチェンジを行っています。
 1981年度に製造された車両から、同じステンレス製でも軽量構体を採用しています。これは東横線用の8090系に導入された仕様を反映したものですが、外観は従来の車両と同じになっています。
 この頃の国鉄は201系の量産に着手した頃ですので、1969年には軽量ステンレス車体、界磁チョッパ制御の8000系の製造を開始した東急のほうが通勤電車の技術についてははるかに進んでいたといえそうです。    
 写真の8635Fは1986年1月に東急車輛で完成したものです。1999年度に行先表示をLED化し、2003年度に先頭車にスカートを装備しています。

2010/08/13

185系(チタA7編成)

185系電車は、急行「伊豆」に使用されていた153系の置き換えを目的として1981年に登場したものです。153系電車は普通にも使用していましたので、185系は特急と普通の両方に使用できる電車として設計されました。
車体は117系近郊型電車と同じ車体断面となっています。出入口は1両あたりに2か所設けられ、幅も急行電車と同じ1.000mmとしています。普通車はブラウン色の転換クロスシートを910mm間隔で配置しました。
走行機器は十分な使用実績の機器でまとめられ、主制御器はCS32A、主抵抗器はMR136、主電動機はMT54Dです。台車はDT32H・TR69K形、パンタグラフはPS16、冷房装置はAU75C/AU71Cを装備しています。これもまた117系近郊型電車に準じた構成となっています。
写真のA7編成は1981年5月に日本車輛で完成し、田町電車区に新製配置されたものです。1999年7月に室内設備の更新と塗装の変更を行っています。また185系は強化形スカートの装備により、前面の印象がやや変化しています。

2010/08/12

E231系1000番代(コツS-33編成)

 東海道本線の東京口では、JRへの移行後も国鉄形の113系電車が長らく主力として活躍してきました。2004年になってようやく、「湘南新宿ライン」の増発にも備えたE231系の東海道線仕様の製造が始まりました。
 既に宇都宮線・高崎線用として製造が進んでいたE231系の近郊型とは大きく仕様の変更はありませんが、当初からグリーン車組み込みで製造されました。Suicaで利用できるようになったのもE231系のグリーン車が最初です。宇都宮線・高崎線用の車両にもグリーン車が組み込まれ、捻出した普通車を東海道線用の編成に組み込んだりもしました。
 制御装置には変化がありませんが、VVVFインバーター装置にラジオノイズ対策などを施しています。またネットワークシステムを活用したVIS〈情報提供装置〉を採用しています。難しいことは抜きにして、E231系は113系に比較するとほんとうに静かに走るようになっていると私は乗車するたびに思います。
 写真のコツS33編成は2005年10月に新津車両製作所で完成し、国府津車両センターに新製配置されたものです。E231系は短期間に集中的に製造され、早くも2006年3月には東海道線東京口における113系の取替を完了しました。

2010/08/11

215系(チタNL3編成)

 主に「通勤ライナー」に使用されているのが、215系電車です。遠距離着席通勤を考慮した二階建て構造の東海道線ではよく目立つ電車です。藤沢あたりから東京方面に通勤されている方は帰宅時などに利用されたこともあるのではないでしょうか?
 車体はステンレス製で、座席を可能な限り増やすために断面をぎりぎりまで広げています。オール二階建て構造ですが、両端の車両だけ機器を集中して積むために階下席がありません。また普通車の座席はボックス配置ですが、一人ずつのセパレートタイプになっています。
 走行機器は211系を基本としており、主回路は添加界磁励磁制御を採用していますが、最高速度は120km/hに向上しています。そのため機器の構成・配置が211系とは異なり、台車には揺れ防止のためのダンパ装置が付いています。
 写真のチタNL3編成は1993年10月に日本車輛で完成し、田町電車区に新製配置されています。東海道本線の通勤ライナーのほか、中央本線の臨時快速などにも使用されています。

211系(チタN5編成)

 1986年3月のダイヤ改正から、東海道線東京口では久々の新形近郊型電車として211系電車が走り始めました。
 車体は軽量ステンレス製となり、113系に比べると窓も大きく明るい印象の電車となりました。また車内も明るい色調でまとめられています。また付属編成については激化する混雑に対応するためにロングシートを採用しています。
 主回路は205系電車と同じく添加界磁励磁制御を採用し、回生ブレーキを使用できるようにしています。もっともこの制御方式はもともと近郊型電車に導入することを目的として、国鉄が研究を進めていたものですが、初期投資が抑制できるので205系にも導入されたものです。
 写真のチタN5編成は1986年2月に日立製作所で完成し、田町電車区に新製配置されたものです。当初グリーン車は平屋構造の車両だったのですが、のちに利用増に対応して113系から転用した二階建て構造の車両に振り替えています。

113系

 1960年代に入る頃になると東海道線沿線でも宅地化が急速に進んで乗客が激増し、2扉・クロスシートの上に吊掛駆動で加減速性能に難のある80系電車では、通勤時間帯の遅延が慢性化するようになっていました。
 解決策として3扉・セミクロスシートの新性能電車111系を1962年から投入しました。1964年の増備車からはモーターを出力増強形のMT54形にした113系となりました。113系は途中冷房化やシートピッチの拡大などの改良を行いながら、1982年まで製造が継続され、2.846両の仲間が世に送り出されました。
 私は東海道線の電車といえばこの113系の印象が強いです。小さい頃には湘南色とスカ色の混色編成が走っていたような記憶があります。また1980年代には特急形の余剰車などを改造したグリーン車が走り始めました。車体の断面が明らかに異なるので目立つのです。
 211系が走り始めてからも多くの仲間が走っていた113系ですが、E231系の大量投入によって一気に置き換えられ、2006年3月には東海道線東京口から姿を消しました。ちなみに113系は房総地区でJR東日本管内では最後の活躍を続けています。
【撮影:佐野次郎 1985年頃大船駅】

2010/08/10

165系

 新幹線開業前の東海道本線では、151系「こだま型」特急形電車のほか、153系「東海型」急行形電車が活躍していました。急行とはいっても12両の長大編成で、ビュフェ車を連結しており職人が握る「寿司コーナー」まであったのです。
 165系急行形電車は、153系に代わる急行形電車として1963〈昭和38〉年から製造されました。車体のレイアウトは153系に準じたものですが、正面の塗り分けは独自のものとなっています。最初は上越、中央、信越線の急行に投入されました。
 153系と異なるのは、モーターは出力強化型のMT54を搭載し、勾配路線で使用するために抑速発電ブレーキを装備していることです。また台車は485系特急形電車などと同じDT32/TR69を装備しています。
 東海道本線の東京口では、急行「東海」として長らく活躍を続けてきましたが、1996年に「東海」の特急格上げ、373系投入に伴い165系電車を東京近辺で見ることはできなくなってしまいました。
【撮影:佐野次郎 1985年頃大船駅】

2010/08/09

交通科学博物館クハ86001

 いつ乗っても混雑していて、座席のカドになっている部分に当たって骨にヒビが入ったなどという怖い話を聞いたりもする東海道線の東京口ですが、電車が走り始めたのは日本が敗戦による荒廃から再起しつつあった1950年〈昭和25年〉のことです。
 投入されたのは写真の80系電車で、電車を中・長距離輸送に使用するのは初めてであり、設計と初期故障への対応に国鉄の技術陣はたいへんな苦労をはらったそうです。80系電車の登場までは中・長距離輸送には客車を用いるのが一般的でした。80系も客車を電車にしたようなスタイルをしています。
 現代のE231系などのカラー帯にも継承されている「湘南色」も80系が初めて採用したものです。オレンジはみかん、グリーンは茶の葉の色という東海道線沿線の物産を表現したものとも云われていますが、遠方からの識別を容易にするという実用的な理由で採用されたようです。
 写真のクハ86001号は1950年2月に日立製作所で完成し、田町電車区に新製配置されました。その後岡山、広島、下関地区に転用され、1977年11月に廃車されました。現在では大阪環状線弁天町駅を最寄り駅とする交通科学博物館で展示されています。
【撮影:佐野次郎 1992.1.14】

2010/08/08

東京地下鉄10000系(10131F)

 10000系は東京メトロの新しい標準車両として2006年に有楽町線に投入されたものです。また2008年6月に開業した副都心線でも使用できる電車です。既に10000系は36編成が製造され、東西線用の15000系や千代田線用の16000系といった派生形式も登場しています。
 車体はアルミ合金製のダブルスキン構体を採用し、強度が強くて歪みの少ない車体としています。バリアフリーに対応してホームとの段差を小さくしているほか、通勤電車では珍しい全面強化ガラスの貫通扉を採用するなど室内は洗練されたデザインとなっています。
 主回路はIGBT素子を採用したVVVFインバーター制御を採用しています。副都心線でのワンマン運転に対応した設備も備えています。中央に貫通路がありますが、運転台は大型の机のような個性的なレイアウトになっています。
 写真の10131Fは2009年10月に日立製作所で完成したもので、10000系としては5次車に相当します。新形の通勤電車としては珍しく丸みを帯びたデザインなので、東上線の地上区間ではよく目立ちますね。

2010/08/07

371系(シスX1編成)

 多彩な車両が走る小田急のロマンスカーですが、その中に1編成だけJR東海の電車が走っています。20000形とともに新宿ー沼津間の特急「あさぎり」に使用されている371系電車がその1編成です。
 371系電車は小田急との相互乗り入れ協定に基づいて製作されたもので、眺望の良いハイデッカーを基本として、当時東海道新幹線の主力だった100系新幹線のように二階建て車両を2両中間に組み込んでいます。新製後20年を経過しますが、まったく古さを感じさせません。
 主回路は界磁添加励磁制御ですので、当時JR東海がさかんに製造していた211系近郊型電車のシステムをベースにして特急形に発展させたものだといえそうです。また窓が大きく「ワイドビュー」な特急形であるところは、高山線の特急「ひだ」に使用されているキハ85形に通じるものがあります。やはりJR東海の車両なんですね。
 写真のX1編成は1991年1月に日本車輛・川崎重工・日立製作所が分担して完成させたもので、静岡車両区の配置です。371系は1編成しかありませんので、検査などで運用を離れるときは20000形が代走しています。

小田急電鉄7000形(7003F)

 小田急の7000形電車は1980年から83年にかけて製造されたロマンスカーとしては三代目の電車です。3100形と同様の前面展望式・11両連接編成ですが、鋭角的なイメージの電車になっています。
 1996年から98年にかけて日本車輛で大規模な車体修理を実施しました。各部の補修の他、バリアフリー対策の工事も行われました。また塗装を10000形に近いパールホワイトとワインレッドに変更して、前面展望式のロマンスカーの塗装を揃えています。
 2010年1月に車両の不具合が見つかり、7000形は一時運用を離脱しました。20000形などを活用して代送が行われました。10000形にも同様の不具合があり、車両のやりくりは大変だったのではないでしょうか?7004Fが4月から、7003Fが5月から運用に復帰しましたが、7001Fはいまだ離脱中です。
 写真の7003Fは、1982年11月に日本車輛で完成したもので、7000形の3次車に相当します。1996年3月に7000形としては最初に車体修理を実施しました。

2010/08/05

小田急電鉄7000形(7004F)

 小田急7000形のうち7004Fは、2007年5月から製造当初の塗装に復元されて走っています。この塗装で走る7000形を見ると3000形・3100形に続く三代目のロマンスカーとして改良を積み重ねてきたことがよくわかります。
 いつの間にか小田急の特急電車では最古参になってしまった7000形は、1980年代を代表する私鉄の特急電車でもあります。既に廃車となった7002Fは国鉄に貸し出されて東海道本線で走行試験を行い、次世代の特急電車の研究に供されたくらいなのです。
 当時の国鉄は財政難であり、直接試験の結果を反映した特急電車は製造できなかったのですが、JRへの移行後には多彩な新形特急が登場しました。また小田急でも魅力のある新形車両を世に送り出しています。
 写真の7004Fは、1983年12月に川崎重工で完成したものです。1998年4月に日本車輛でリニューアル工事を終えています。

2010/08/01

東武鉄道50090系(51093F)

 東武東上線では、帰宅時間帯の着席ニーズに応えるために2008年6月から池袋ー森林公園・小川町間に「TJライナー」の運転を開始しました。池袋からの乗車には乗車券のほかに300円の着席整理券が必要となるものです。「TJライナー」用として50090系電車が新たに用意されました。
 50090系は、座席を特急電車のように進行方向に向けたり、普通の通勤電車のように長手方向に向けたり、運転室のモニタ装置からタッチパネルで変換できる機構を備えています。「TJライナー」として走るときには、座席は進行方向を向くのですが、座席の間隔は1.000mmを確保し、JRの特急「わかしお」などよりも少しひろくなっています。
 東上線といえば、日光や鬼怒川温泉行きの特急が走る伊勢崎線とは異なり、実用本位の通勤電車ばかりが走る路線という印象がありましたが、「TJライナー」の登場で少し印象が異なってきています。2012年に東上線~東京メトロ副都心線~.東急東横線というルートができることでまた変化があることでしょう。
 写真の51093Fは、2008年3月に日立製作所で完成したものです。「TJライナー」の走らない時間帯や上り列車では主に準急に使用されているようです。

東武鉄道50000系(51006F)

 東上線への50000系電車の投入は、2005年10月に51002Fが完成して以降途絶えていたのですが、今年に入ってから投入が再開され、51003F~51009Fの6編成が営業運転に入っています。
 第1編成の51001Fは正面非貫通でしたが、51002F以降は地下鉄に乗り入れをしなくても正面に貫通路を設けています。1980年代には、地下鉄乗り入れ用の9000系と地上線用の10000系では仕様を変えていましたが、現在の50000系ではそれほど大きな差異がなくなっています。標準化が進んでいるわけですね。
 また50000系電車は日立製作所が力を入れているA-TRAINという仕様に基づくもので、メーカー標準車両に近いものです。その他東京メトロ10000系・15000系や西武鉄道30000系もA-TRAINの仲間に入ります。
 写真の51006Fは2010年4月に日立製作所で完成したものです。東上線では50000系の投入により、8000系の置き換えが進められています。