2022/06/30

小田急電鉄5000形(5058F)

小田急電鉄5000形は標準化志向が強まっていた近年の通勤電車の中にあって、遠目からとそれとわかる個性のある車両だと思います。シャープなデザインは、快速急行のような速達系の列車によりふさわしいものです。各停にもかなり入って存在感を増していましたが、3月のダイヤ改正では10連の運用が町田以西の急行を中心に減少したもようです。
5000形は外形もですが、室内が従来の車両とは異なります。床材がフローリングを意識したのか茶系統の色調になっています。また荷棚・貫通扉・袖仕切りなどにガラス素材を使ってより広がりの感じられる空間を構成しています。オレンジ色のシートモケットも新鮮な配色です。空気清浄機や防犯カメラの装備も現代の車両ならではです。
制御装置はVVVFインバータ制御ですが、機器の小型・軽量化が進み、更新前の1000形の制御装置に比較すると体積比で15.3%・重量比で13.5%にまでコンパクトになっています。省エネルギーや静粛性、次世代情報管理システムN-TIOSの採用など更なる進化が見られます。
写真の5058Fは、2021年6月に日本車両で完成したものです。5000形は5060Fまで完成し、100両(10両編成10本)となっています。今後の増備の進展や既存車両のリニューアルがどのように進展していくのかが興味深いです。

2022/06/29

小田急電鉄1000形(1063F)

1000形の新製から約25年が経過し、老朽化や性能面で他系列に比べて見劣りする面が出て来たたため、2014年度から車体修理・機器更新が進められています。大規模なリニューアルで見違えるようになっていますが、2021年度の1092F・1097Fの施行が最終という噂もあります。
内装デザインは森と風をイメージして、壁は木目模様、天井にはそよ風をイメージした青いラインを入れています。また座席幅を拡大し、袖仕切りも大型化しています。17インチワイド画面の車内案内表示装置を各扉上部に2台ずつ新設しています。
制御装置はフルSiCVVVFインバータ制御のMAP-198-15V267、主電動機は出力190kWのMB-5157-A、補助電源装置はIGBT-SIVのSVH210-4075Aです。台車はFS534/FS034、集電装置はPT7113-B、冷房装置はCU195CAを装備しています。
写真の1063Fは1989年11月に東急車輌で完成したもので、1000形の3次車に相当します。3次車は全車が千代田線乗入れ対応車となっていました。2015年8月に車体修理と機器更新を完了しています。

2022/06/28

小田急電鉄4000形(4057F)

小田急電鉄4000形は、「人と環境にやさしく故障に強い車両」をコンセプトとしてバリアフリーの推進や、主要機器・回路の二重化などによる輸送障害の低減を目指して設計・製造されたもので、2007年度から2016年度にかけて5次にわたり160両(10両編成16本)が導入されました。
車体はJR東日本のE233系をベースとしたステンレス製で、車体幅は2.770mmで裾絞りがないストレート車体としています。床面高さを1.130mmとしてプラットホームとの段差を抑えています。車いすスペースは両先頭車の乗務員室寄りに設けており、腰掛を折り畳み式にしています。
制御装置はIPM-VVVFインバータ制御のMAP-198-15V172、主電動機は出力190kWのMB-5123-A、補助電源装置はIGBT-SIVのOE-SC86です。台車はTS-1033/TS-1034、集電装置はPT7113-B、冷房装置は50.000kcal/hの能力を持つCU720を装備しています。
写真の4057Fは2008年2月に東急車輌で完成したもので、4000形の1次車に相当します。車内情報案内装置を17インチワイド2画面に改修、千代田線用ATO・TASC搭載、前照灯のLED化などの改修が行われています。

2022/06/27

小田急電鉄3000形(3087F)

小田急電鉄では長年の悲願であった代々木上原ー登戸間の複々線化が2018年3月に完成して以来、10両貫通編成を増やしてきました。快速急行や急行だけでなく、各停にも10両編成が使用される姿をよく見かけるようになりました。
新形の4000形・5000形もすべて10両貫通編成ですし、3000形についても6両編成・8両編成に中間車を増備して10両固定編成があわせて12本も組成されました。去る3月のダイヤ改正ではさすがに輸送力の調整が行われ、町田以西の急行は6両編成が増えているようです。
80年代・90年代の小田急では急行は相模大野で箱根湯本行きと片瀬江ノ島行きに分割され、本厚木まではラッシュ時でなくても混雑していたような印象があります。現在は快速急行があり、さすがに急行の分割・併合はありませんが、乗客には一部とまどいがあるようです。
写真の3087Fは、2005年7月に川崎重工で完成した3000形の5次車に相当する3659Fに、2019年10月に川崎重工で完成した3387・3437を組み込んで、編成組替・番号変更したものです。5次車は新製時からLCD式車内案内表示装置を全側扉上に装備しています。

2022/06/26

小田急電鉄3000形(3263F)

小田急電鉄の一般車としては圧倒的な多数派となっている3000形ですが、2003年度から2004年度にかけて導入された3次車では規模の大きい仕様変更を行っています。列車情報管理システムTIOSを導入し、防音効果確認のための試験車両が製作されました。
3263Fの編成全体に台枠下部覆いを装着した状態で竣工し、走行音・機器動作音の低減効果を確認する試験が行われました。台枠下部覆いの外側には制振材が塗布され、内側には新宿寄り3両に制振材、小田原寄り3両に吸音材が取り付けられました。
覆いの開閉は1両ごとに、車端部に設けたコックを操作しエアシリンダを動作されることで行われました。自動ロック機構も備え、走行風圧などで浮き上がることを防止し、TIOSによる状態監視も行われました。
3263Fは2003年11月に日本車両で完成したもので3000形の3次車に相当します。2006年1月に台枠下部覆いを撤去し、電動車の台車周りにのみ覆いを取り付け試験を継続しました。2008年7月には全ての覆いを撤去しましたが、台枠には覆いを取り付けるためのベースが残存しています。

2022/06/25

E657系(カツK14編成)

E657系特急形電車は、JR東日本が「スーパーひたち」「フレッシュひたち」で使用していた651系・E653系の代替を目的として導入したものです。2011年から2019年にかけて190両(10両編成19本)が製造されました。10両固定編成で6M4T、定員は普通車570名、グリーン車30名です。
車体はアルミ合金製のダブルスキン構体で、先頭部はFRP製となっています。側窓は連続式の固定窓です。客室内は木目とグレーが配色の基本となっています。シートピッチは普通車が960mm、グリーン車で1.160mmです。ゴム床敷物とアルミ板を組み合わせた防音床構造を採用して静粛性を高めています。またデッキ部には防犯カメラを装備しています。
制御装置はIGBT-VVVFインバータ制御のCI22、主電動機は出力140kWのMT75B、補助電源装置はIGBT-SIVのSC95です。台車はDT78/TR263系、集電装置はPS37A、冷房装置はAU734を装備しています。また車体間ダンパと先頭車とグリーン車にフルアクティブサスペンションを装備しています。
写真のカツK14編成は2012年9月に近畿車両で完成したものです。2015年2月に座席表示システム改造、2016年1月に前面FRP強化工事を完了しています。E657系は2012年3月のダイヤ改正から営業運転を開始しました。2015年3月のダイヤ改正で上野東京ラインの開業に伴い、列車名を「ひたち」「ときわ」に改称し、品川駅に乗り入れています。

2022/06/24

東急電鉄7000系(7111F)

東急電鉄7000系は、1991年の1000系以来となる多摩川・池上線用の新製車両です。2007年から2018年にかけて45両(3両編成15本)が製造されました。5000系の設計コンセプトを踏襲した車体長18ⅿ級のワンマン運転対応車両です。
車体は軽量ステンレス製で、外装のカラーリングは緑を基調としていますが、閑静な住宅街を走る両線沿線の景観に合わせたものです。内装は木目調となり、中間車の車端部には1-2列配置のクロスシートを配置しています。
制御装置はIGBT-VVVFインバータ制御のSVF091-A0、主電動機は出力190kWのTKM-99A、補助電源装置はIGBT-SIVのSVF091-A0です。台車はTS-1019B/TS-1020C、集電装置はPT7108-B、冷房装置は52.500kcal/hの能力を持つCU708を装備しています。
写真の7111Fは、2018年10月に総合車両製作所で完成したものです。7000系の2018年度の増備により、7700系の営業運転が2018年11月に終了しました。日比谷線直通に使用していた1000系を1500番代として転用したため、7000系の増備はその分抑制されたものと思われます。

2022/06/23

東京地下鉄8000系(8115F)

東京メトロ半蔵門線の第一世代である8000系電車は、千代田線用の6000系・有楽町線用の7000系の弟分的な存在でもあります。6000系は既に引退し、副都心線の開業に対応して大改造された7000系の置換えも終盤にさしかかっていますが、8000系の活躍は2025年度まで見ることができそうです。
車体は6000系からの延長線上にあるアルミ製で、傾斜部が前照灯までかかり、縁取りをつけています。全車の側窓が一段下降式です。車内はアイボリー系の内装ですが、改修工事が行われ17インチワイド液晶画面による案内表示もついて、新形車両と比べても遜色のない状態を維持しています。
制御装置はIGBT-VVVFインバータ制御のMAP-174-15V146、主電動機は出力165kWのMM-18011A、補助電源装置はSIVのINV172-A0です。台車はボルスタレス式空気ばね台車SS101、集電装置はPT-4315、冷房装置はMS-RE1101を装備しています。
写真の8115Fは、8615・8715の2両だけが1987年9月に川崎重工で完成した3次車で、あとの8両は1988年9月に東急車輌で完成した4次車です。2014年8月に大規模修繕と制御装置更新を完了しています。

2022/06/22

E231系(マト111編成)

常磐快速線用のE231系は2002年4月から2004年2月までに265両(10両編成17本・5両編成19本)が新津車両製作所で製造され、103系の取替を完了しました。2015年には上野東京ラインの開業による所要増により20両(10編成2本)が転入しています。
常磐快速線用のE231系は基本編成10両と付属編成5両により最大15両編成を構成するのが特徴で、自動解結装置と電気連結器を装備しています。また全車が4扉車です。前頭部は白色となり、識別帯は青緑と黄緑の2色となっています。
制御装置はIGBT-VVVFインバータ制御のSC60B、主電動機は出力95kWのMT73、補助電源装置はSC62Aです。台車はDT61/TR246系、集電装置はPS33B、冷房装置はAU725Aを装備しています。
写真のマト111編成は2003年2月に新津車両製作所で完成したものです。2017年6月に長野総合車両センターで機器更新を完了しております。ちなみに2015年1月に転入してきたマト118編成は2020年8月に武蔵野線へ転出しました。

2022/06/21

205系(クラH19編成)

国鉄時代に製造された205系は山手線用が340両(10両編成34本)、JR西日本に継承されることになる東海道・山陽緩行線用が28両(7両編成4本)の合計368両でした。JR東日本でも205系の増備が行われましたが、国鉄時代のようにメインの線区に新車を投入して捻出した旧型車を転用するのでなく、直接各線区に新車を投入するようになりました。
山手線に続いて205系が新製投入されたのは横浜線で、1988年から1989年にかけて175両(7両編成25本)が投入され、103系の置換えを完了しました。7両編成で4M3Tとし、保安装置は103系と同じくATC(京浜東北線用)とATS-B(横浜線用)の両方を装備しました。
識別帯は黄緑6号と緑15号を組み合わせたものを新たに採用しました。横浜線では快速列車の運転があるため、前面には列車種別表示窓が備え付けられました。また横浜線用に新製されたグループから側扉の窓が天地方向に拡大されました。
写真のクラH19編成は、1989年1月に川崎重工で完成し、蒲田電車区に新製配置されたものです。1994年11月に近畿車両で完成したサハ204-119を増結しました。1995年3月に先頭車にレール塗油器を取り付け、1996年12月に横浜支社の発足により鎌倉車両センターに転属しクラH19編成となりました。2014年9月に廃車となり、インドネシアに譲渡されました。

2022/06/20

205系(ナハ9編成)

1985年に登場した205系は、山手線に集中して投入され、JR東日本への移行後の1988年6月に103系の置換えを完了しました。1988年9月から営業運転を開始した横浜線に次いで、1989年には南武線への投入が始まり、同年3月のダイヤ改正で営業運転を開始しました。
横浜線では約半年ほどで205系による103系の置換えが完了したのですが、南武線への205系の新製投入は96両(6両編成16本)にとどまり、山手線へのE231系500番代投入による捻出車が転属した2004年度に103系の置換えが完了しました。
南武線に新製投入された205系は、側窓は1段下降式になっているのに加え、側扉の窓が大きくなり、運転室仕切窓の拡大、客室寸法の拡大が行われていました。識別帯の色は黄色1号と王冠色2号、ぶどう色2号を組み合わせたものを新たに採用しました。
写真のナハ9編成は、1990年8月に川崎重工で完成し中原電車区に新製配置されたものです。2015年2月にナハ6編成のMM´273を組み込んで武蔵野線に転用され、ケヨM52編成となっています。2019年10月に廃車となりました。

2022/06/19

東急電鉄2020系(2148F)

東急田園都市線では2018年度から、2020系電車の導入により8500系の代替を再開しています。2020系はJR東日本のE235系と車両仕様を共通化し量産効果によるコストダウンを図りつつ、省エネルギー化・低騒音化を進め、沿線に調和したデザインを取り入れています。
車体はsustinaブランドによる軽量ステンレス製で、平滑で見栄えの良いものです。車体上部のホワイトも好印象です。客室内は床下中央が明るい色調の木目調、両端が濃い木目調、座席はグリーン、化粧板はクリーム系と新型車両らしく明るい空間ができています。
制御装置はIGBT-VVVFインバータ制御のMAP144-15V31A、主電動機は出力140kWのSEA-446、補助電源装置はIGBT-SIVのCDA175です。台車はTS-1041/TS-1042、集電装置はPT-7108-E、冷房装置はCU7080を装備しています。
写真の2148Fは、2021年8月に総合車両製作所横浜事業所で完成したものです。8500系も現役で残るのはあと1編成になっています。頻繁に走っていた8500系ですが、土日には営業運転に入っていない模様です。

2022/06/18

東京地下鉄18000系(18102F)

東京地下鉄18000系は、約40年間にわたって半蔵門線で使用している8000系を代替し、安全性・安定性を高め輸送サービスの品質を高めるために2021年から導入しているものです。8000系が6000系・7000系と兄弟車両であったように、17000系と兄弟車両であるといえるでしょう。
車体はアルミ合金によるダブルスキン構体で、床面の高さを8000系の1.200mmから1.140mmに下げてホームとの段差縮小を図っています。識別帯は半蔵門線のラインカラーであるパープルを2色配しています。ホームドアの高さを意識して車体上部にもカラーを配置しています。また新製当初からセキュリティカメラを装備しています。
8000系は初めてボルスタレス台車を本格的に採用しましたが、18000系の台車はモノリンク式ボルスタ付き台車FS-781形を装備しています。これには地下鉄線内の低速・急曲線区間と相互直通先における直線・高速走行区間での走行安定性を高める目的があります。また8000系は先頭車は自連を装備していますが、18000系では密着連結器を装備しています。
写真の18102Fは、2020年12月に日立製作所で完成したものです。2021年度には18000系は40両(10両編成4本)が導入されましたが、2025年度までに190両(10両編成19本)を導入する予定になっています。

過去の記事から
東京地下鉄17000系(17101F)
https://sanojiro.blogspot.com/2021/06/1700017101f.html
東京地下鉄18000系(18101F)
https://sanojiro.blogspot.com/2021/10/1800018101f.html

2022/06/17

東京地下鉄08系(08104F)

営団地下鉄(当時)08系は、2003年3月の半蔵門線水天宮前ー押上間6.1kmの延伸開業と東武伊勢崎線・日光線との相互直通運転開始を契機として導入された車両です。同時期に東西線で5000系の更新用に導入された05系11次車と共通化することでコストダウンを図りました。
車体はアルミ製で、前面形状に8000系のイメージを残しながら縦曲線形状となりました。客室内については、座席をシート幅450mmのバケットシートとし、3-4人に区切るためのスタンションポールを設けました。
制御装置はIGBT-VVVFインバータ制御のMAP-178-15V108、主電動機は出力165kWのMM-111A、補助電源装置はSIVのINV154-A0です。台車はND730系、集電装置はPT-7136-E、冷房装置はRPU-15003を装備しています。
写真の08104Fは、2003年1月に日本車両で完成したものです。行先表示のLEDはフルカラー式に換装されています。08系は比較的新しい車両ですので、18000系による置換対象からは外れています。

過去の記事から
東京地下鉄08系(08101F)
https://sanojiro.blogspot.com/2021/12/0808101f.html
東京地下鉄08系(08102F)
https://sanojiro.blogspot.com/2022/01/0808102f.html
東京地下鉄08系〈08103F〉
https://sanojiro.blogspot.com/2010/04/0808103f.html
東京地下鉄08系〈08105F〉
https://sanojiro.blogspot.com/2010/08/0808105f.html

2022/06/16

東京地下鉄8000系(8109F)

半蔵門線の8000系は、1980年から1994年にかけて製造されたもので、技術の陳腐化や機器の劣化が進行していました。そこで2003年度から大規模改修工事が実施されました。190両(10両編成19本)すべてが施行対象になりました。
室内設備は、3・9号車に車いすスペースが設けられました。腰掛については、脇仕切りを大型化し、着席区分を明確にするためにスタンションポールで区切っています。車内表示器は新型車両と同様に17インチワイド型の2画面となり、情報量も増しています。
制御装置はチョッパ制御からIGBT-VVVFインバータ制御に変更し、補助電源装置もDC/DCコンバータからSIVに換装しました。また回生ブレーキ性能を向上させ、ブレーキ力の安定を図っています。冷房装置も42.000kcal/hから50.000kcal/hの能力を持つ新型に換装されました。
写真の8109編成は、1982年12月に東急車輌で完成したもので、8000系の2次車に相当します。8連で完成しましたが1988年12月に4次車の8609・8709が東急車輌で完成し、10連になりました。8両は冷房準備車として落成しましたので、1989年5月に冷房改造されました。2005年1月に大規模修繕工事・制御装置更新が行われました。

2022/06/15

小田急電鉄3000形(3265F)

2003年度から2004年度にかけて小田急電鉄3000形の3次車では標準仕様化をより進めるための設計変更が行われ、機器・編成構成などの見直しが行われました。側面全体をスカートを覆って防音効果確認試験を行っていた3263Fも3次車に含まれています。
6両編成で2次車までの4M2Tから3M3Tに変更されました。ただし1・2次車のM₂・M₄の小田原寄り台車は主電動機を装荷していませんので、台車単位でのMT比は変わりません。主電動機をパワーアップする一方で、センサレス化などにより静音化を図っています。
列車情報管理システムであるTIOSを導入し、配線を削減する一方で従来のモニタから機能を大幅に拡張し編成単位でのブレーキ制御や冷房制御など多岐に渡って活用しています。またTIOS読替装置を備えているためTIOSを装備しない他系列との併結運転も可能です。
写真の3265Fは2004年4月に日本車両で完成したもので、3000形の3次車に相当します。10両編成を組む際には他系列の4両固定編成を新宿方に併結しますので、2段式の電気連結器を装備しています。

2022/06/14

京浜急行電鉄2100形(2173編成)

2100形は1998年から2000年にかけて80両(8両編成10本)が製造された2扉のクロスシート車です。スピードアップに対応できる性能を備える一方で、外国製品を取り入れて導入コストの削減が図られました。かつては音階のような起動音から「歌う電車」ともいわれていました。
車内は京急では初めて扉間に転換クロスシートを導入しました。車端部が4人掛けの向かい合わせの座席になっています。座席の表布はスウェーデン製で瑠璃色を基調に水玉模様を配しました。更新工事で腰掛は国産に換装されましたが、イメージは継承されています。
制御装置はIGBT-VVVFインバータ制御のATR-H4190-RG6008A-M、主電動機は出力190kWのTDK6163A、補助電源装置はIGBT-SIVのNC-WAT150Cです。台車はTH-2100M/TH-2100T、集電装置はPT-7117-A、冷房装置はCU71Gを装備しています。
写真の2173編成は2000年10月に東急車輌で完成したものです。2012年9月に主回路換装工事、2015年12月に車体更新工事を完了しております。前面への「けいきゅん」マークの掲示や行先表示のLED化でも製造当初と印象が異なります。

2022/06/13

205系(ナハ36編成)

205系は国鉄をとりまく厳しい情勢から経費の節減が強く求められるなかで、新製価格の低減を図るために、様々な新技術を導入して設計されたものです。次期近郊型直流電車の検討を進めるうえで試作試験が行われた界磁添加励磁制御方式や軽量ボルスタレス台車の成果を生かしていることはよく知られています。
車体は軽量ステンレス製とし、軽量化と保守費の低減、車両寿命の延伸を図りました。これは東急車輌が技術を公開したために実現したもので、広くステンレス製の車体が通勤電車に採用される契機となりました。2次車から側窓が1段下降式となり、よりスマートになりました。
205系はまず山手線に投入されましたが、山手線で必要なATC受信機、制御装置と列車無線装置を床下搭載としました。このため103系と比較して、客室スペースが拡大され、また運転台背面の見通しが良くなりました。
写真のナハ36編成は1985年9月に日本車両で完成し、山手電車区に新製配置されました。6両が2002年11月に中原電車区に転属し、南武線に転用されました。2015年10月に廃車となり、インドネシアに譲渡となりました。

2022/06/12

東京地下鉄17000系(17185F)

有楽町線・副都市線では7000系180両(10両編成6本・副都心線のみ8両編成15本)を大規模改修のうえ、継続して使用してきましたが、より高品質な輸送サービスを提供することを目指して17000系に代替することになりました。
車体はアルミ合金によるダブルスキン構体です。前面は丸みを帯びたデザインで10000系とも少しニュアンスの違う仕上がりです。車内設備に関しては腰掛にクッション性の高い金属バネを採用したことで座り心地が改善されています。
制御装置はSiC素子適用VVVFインバータ制御のVFI-HR4420E、主電動機は出力205kWのMM-S5C、補助電源装置はSiC素子適用SIVのNC-GAT240Dです。台車はボルスタつきモノリンク台車FS781、集電装置はPT7174-B、冷房装置はCU7627を装備しています。
写真の17185Fは2021年8月に近畿車両で完成したものです。東急東横線では8連の車両は、東急5000系・5050系、横浜高速鉄道Y500系など限られていますので、17000系の8連の増備が進んだことで頻繁に見られる車両になっています。

2022/06/11

小田急電鉄8000形(8052F)

小田急電鉄8000形は1982年度から1987年度にかけて7次に渡り160両(4両編成・6両編成各16本)が導入されたものです。現在では唯一の普通鋼製かつ塗装を施した通勤車でもあり、比較的目立つ存在になっています。
車体は普通鋼製ですが防蝕性には十分な配慮がされており、保守も行き届いて美しい状態が保たれています。スマートな前面デザインに、大きな1段下降式の側窓・戸袋窓など採光も十分です。天井は平天井で扇風機もラインデリアに置き換えられています。
制御装置はIPM-VVVFインバータ制御のMAP-198-15V115A、主電動機は出力190kWのMB-5123-A、冷房装置はCU195Aを装備しています。
写真の8052Fは1984年3月に東急車輌で完成したもので、8000形の1次車に相当します。2010年8月に車体修理と機器更新を完了しております。更新により機器類は3000形の3次車以降との共通化が図られています。

2022/06/10

EF65形1000番代(1072号)

EF65形1000番代は重連牽引も可能な旅客・貨物両用機関車です。高速貨物・ブルートレインの牽引に使用されるために500番代と同等の仕様ですが、重連使用時の点検の便宜を図るため妻面に貫通扉を設けています。
EF65形1000番代は1968年から1978年まで10年にわたって139両が製造されました。10回に及ぶ増備の過程で大小あわせて200項目以上の設計変更が行われました。設計変更の背景は、用途に応じた変更から、事故・故障への対応、標準化など様々です。
1977年5月から12月にかけて製造された1069~1091号機では主抵抗器をMR134、バーニア抵抗器をMR135に変更しています。主抵抗器の形式変更に伴う重量低減に対応して、車体内部に約1tのデッドウェィトを搭載しました。
写真の1072号機は1977年5月に川崎重工・東洋電機で完成し、新鶴見機関区に新製配置されたものです。JR貨物に継承され、2013年度に廃車となりました。機関車更新工事の対象とはならず、最終配置も新鶴見機関区でした。

2022/06/09

京浜急行電鉄1500形(1517編成)

1500形は1985年から1993年にかけて製造された車両で、都営・京成線方面への乗入れを前提とした車両です。現在では新製当初からVVVFインバータ制御で新製された最終グループを除いて京急線内で使用されています。最初の20両のみ鋼製車体で新製されました。
車体更新工事によって、1000形や2000形の3扉化改造車に準じた内装の仕様が取り入れられました。座席や窓キセなどに変化が見られます。鋼製車の特徴であった戸袋窓と妻窓を廃止した一方で、LEDスクロール式の車内案内表示器を装備しました。
制御装置は界磁チョッパ制御のES786A-M、主電動機はTDK8700-A、補助電源装置はSIVのNC-DAT75Bです。制動方式は回生ブレーキ付き全電気指令直通ブレーキです。台車はTH-1500M、冷房装置はCU71E-G1を装備しています。
写真の1517編成は1986年7月に川崎重工で完成したもので、1500形の2次車に相当します。2001年6月に車体更新を完了しました。1500形では最初に車体更新を施行した編成となります。1000形の1890番代の増備により、当編成の引退も迫っているものと思われます。

2022/06/08

東急電鉄5050系4000番代(4108F)

5050系4000番代は、副都心線を介して東武東上線・西武池袋線まで相互直通運転を行うために導入されたものです。8両編成に統一されていた東横線に10両編成が入ることも画期的なことでした。
もっとも東武9000系・50070系、西武6000系、東京メトロ7000系・10000系が大挙して乗り入れるようになり、ほぼ渋谷行で統一されていた行先も多様になり、みなとみらい線のY500系も含めてほぼ5000シリーズで統一されつつあった状況から様変わりしました。
そして来年3月には東急新横浜線・相鉄新横浜線が開業することにより、更なる巨大ネットワークが完成します。東急では目黒線系統の比率が高いようですが東横線に入る列車も設定されるようです。具体的なダイヤの発表が楽しみです。
写真の4108Fは2012年12月に総合車両製作所横浜事業所で完成したものです。2013年3月の相互直通運転開始とともに営業運転入りしました。4000番代の中には相鉄線乗入れ対応工事を実施している編成も出ているようです。

2022/06/07

京浜急行電鉄2100形(2125編成)

京浜急行電鉄2100形は1998年から2000年にかけて2000形の後継車両として80両(8両編成10本)が製造されました。保守面を考慮して主回路機器を更新し、引き続いて機能性・快適性の向上を図るため車体更新工事が行われました。
車体更新時にドア上に設けられたLEDスクロール式の車内表示器が17インチワイドのLCD式車内案内情報装置に換装され、視認性・情報量が大きく向上しています。あわせて運転台に車上情報管理装置を設置し、乗務員支援機能の拡充を図っています。
制御装置はIGBT-VVVFインバータ制御のATR-H4190-RG6008A、主電動機は出力190kWのTDK6163-A、補助電源装置はIGBT-SIVのNC-WAT150Cです。台車はTH-2100M/TH-2100T、集電装置はPT-7117-A、冷房装置はCU71Gを装備しています。
写真の2125編成は1998年10月に東急車輌で完成したもので、2100形の2次車に相当します。2010年6月に主回路機器をシーメンス製から東洋電機製に交換しました。2016年3月に車体更新を完了しています。

2022/06/06

209系500番代(ミツC509編成)

209系500番代は103系の置換えを目的として170両(10両編成17本)が1998年から2000年にかけて中央・総武緩行線に投入されました。10両編成で4M6Tとなっていました。山手線からのE231系500番代の転入により、2019年6月に中央・総武緩行線からの転出が完了しました。
車体は軽量ステンレス製で、定員増を目的として車体幅は2.950mmの拡幅車体を採用しました。先頭部は白色とし、識別帯は黄色5号です。座席はセパレートタイプとなっています。車内の配色は0番代と同様の寒色系です。
制御装置はGTO-VVVFインバータ制御のSC41C、主電動機は出力95kWのMT68A、補助電源装置はGTO-SIVのSC37Bです。台車はDT61D/TR246L、集電装置はPS28B、冷房装置は42.000kcal/hの能力を持つAU720Aを装備しています。
写真のミツC509編成は1999年3月に新津車両製作所で完成したものです。2007年3月に側窓の一部開閉可能化、2009年2月に改良型スカートに交換しました。8両が2018年10月に武蔵野線転用改造・機器更新を行いケヨM83編成となりました。サハ209 535・536は2018年8月に廃車となりました。

2022/06/05

小田急電鉄3000形(3094F)

小田急電鉄の通勤車では主力の位置を占める3000形ですが、編成単位の新製は6両編成と8両編成で行われました。6両は他形式の4両と併結して急行系統、8両は単独で各停を中心に使用されていました。10両編成は複々線化による輸送力増強に対応するため、中間車を新造して組み込んだものです。
6両編成と8両編成のうち、製造年次の新しいものから逆順に選んで中間車を新造・挿入しています。これは既存車と新造車の経年差および機器・設備の相違を少なくするためです。10両編成では5M5Tとなっています。
新造された中間車は3000形の8次車を基本としており、車体強度を強化した構体になっています。客室については立席用の握り棒の形状を直線から曲線に変更するとともに、腰掛の詰め物の素材をポリエステルからウレタンに変更して、座り心地の改善を図っています。
写真の3094Fは、2006年6月に日本車両で完成した3000形の7次車である3278Fに、2011年8月に日本車両で完成したデハ3244・3344・サハ3194・3294を組み込み、編成組替・番号変更したものです。

2022/06/04

小田急電鉄3000形(3651F)

小田急電鉄3000形は2001年から2019年度という1系列としては最長の19年の製造期間をかけています。途中で仕様変更も行っていますが、もっとも大きな変更は更なる標準化の推進を図った2003年度に導入された3次車だといえるでしょう。
3次車では従来の機器動作状態を監視するモニタ装置から、編成全体の情報管理を行う列車情報管理装置TIOSを導入しました。制御・ブレーキ・ドア等の指令はTIOSを介して伝送されるようになり配線の削減が行われました。またTIOSによって検修作業も効率化されます。
先頭車のスカートの形状が変更され、正面の青帯は新製当初から細帯になっていました。また主電動機は出力190kWにパワーアップし、センサレス化・冷却フィンの形状を変更し低騒音化が図られました。
写真の3651Fは2004年1月に日本車両で完成したもので、3000形の3次車に相当します。8両編成は3次車で初めて製造されたものです。後期に製造された7編成については中間車2両を増結して10両編成となり3080番台に車号変更されています。

2022/06/03

E233系7000番代(ハエ132編成)

相模鉄道では2019年11月からJR線との相互直通運転を行っています。JR側の乗入線区は埼京線で、埼京線用のE233系7000番代が西谷ー海老名間に乗り入れています。相模鉄道が相互直通運転に使用している12000系も含めて、前面ガラスに編成ID番号銘板を取り付けているのが特徴の一つです。
編成IDは埼京線池袋ー大宮間の保安装置がATCからATACSに変更されたために必要なものです。ATACSとは、無線を用いることによって従来の軌道回路を前提としたシステム構成を脱却して、地上設備を簡素化してランニングコストの低減を図ることを目的として導入された保安装置です。
JR東日本が開発し、仙石線に導入して良好な運用実績が得られたことからATC装置の更新時期を迎えていた埼京線池袋ー大宮間に導入されました。将来は山手線や京浜東北線の既存設備の更新時期に導入することも考えられているようです。
写真のハエ132編成は2019年1月に総合車両製作所で完成したものです。相模鉄道との相互直通運転開始に備えて製造された編成ですので、ATACS対応・相模鉄道線乗入れ対応が完了した状態で完成しました。

2022/06/02

東京都交通局10-300形(10-640編成)

東京都交通局では新宿線の混雑緩和を目的として10両編成の増強を図ることになり、JR東日本のE233系2000番代をベースにした10-300形の3次車を導入しました。外部デザインについては新宿線の新型車両であることをイメージさせるため独自のデザインとなりました。
座席は1次車・2次車の仕様を引き継いでいますが、天井パネルや側扉などはE233系との共通部材を採用しています。また車内表示装置は17インチ液晶式となっています。車外表示装置についてはフルカラーLED式を採用し、列車種別などの視認性を高めています。
制御装置はIGBT-VVVFインバータ制御のTINV-10C、主電動機は出力95kWのTIM-10、補助電源装置はIGBT-SIVのTSIV-10Aです。台車はT-10系、集電装置はPT7154-A、冷房装置はTLC-10Dを装備しています。
写真の10-640編成は2017年9月に総合車両製作所で完成したものです。E231系をベースとした10-300形の1次車・2次車の8両編成には運用を離脱している編成も出ているようです。10-000形に部分的に組み込まれていた車両も含めて少々もったいないような気がします。

2022/06/01

東京地下鉄10000系(10104F)

東京地下鉄10000系は、相互直通運転を行っている東急東横線でもよく見かける電車です。東西線の05系13次車を基本とした東京地下鉄の基本車両で、副都心線での使用にも対応しています。2006年9月から有楽町線で営業運転を開始しました。
車体はアルミ合金製のダブルスキン構体で、床面高さを1.140mmと低床化してホームとの段差縮小を図っています。車内で目を引くのは幅900mmの全面強化ガラスによる貫通路です。車端部のドアが全面ガラスというのは通勤電車では斬新に感じました。
制御装置はIGBT-VVVFインバータ制御のMAP-178-15V150/151、主電動機は出力165kWのMM-111A2、補助電源装置はSIVのINV-154-D0です。台車はFS777、集電装置はPT7136-F、冷房装置はHRB504-3を装備しています。
写真の10104Fは2006年8月に日立製作所で完成したもので、10000系の1次車に相当します。10000系の1次車は有楽町線で使用されていた07系の置換えに充当され、捻出された07系は東西線に転用されています。

過去の記事から
東京メトロ東西線07系(07103F)
https://sanojiro.blogspot.com/2019/09/0707103f.html