2009/11/14

EF66形〈34号〉

 EF66形電気機関車は、パワーとスタイルの両面において従来の国鉄の電気機関車とは一線を画する存在であるといえよう。
 EF66形はコンテナ車を牽引するために生まれた機関車である。従来の貨車をコンテナ車に代えることで、鉄道は拠点間を結ぶ輸送に特化し、各需要地への輸送は小回りの利くトラックに委ねることができる。
 しかし、昭和50年代後半の鉄道貨物の低迷により、EF66形に多く余剰が発生し、ブルートレインの牽引に転用されたのは今となっては皮肉である。
 現在、JR貨物がEF66形と同等の性能を持つEF210形を増備しているのは、EF66形のコンセプトが鉄道貨物のあるべき姿を見越していたものだったからだと思われる。
【撮影:佐野次郎 2009.11.13大船駅】

EF65形500番代(524号)

 EF65形の中でも目立つ存在であったのが、F形の高速貨物牽引用のグループである。貨物用でありながら、特急牽引用と同じ番号を持ち、同じ塗装を施していた。  しかしながら連結器まわりが重装備で、すっきりとした顔立ちの旅客用とはミッションが異なることを物語っている。  これら高速貨物牽引用のF形が現役を退くときにはファンの注目を相当集めたものである。また鉄道模型の世界では、T社が最後まで残った3両をわざわざセットで模型にした。Nゲージでも一歩踏み込んだマーケティングをしていることがわかる。  今では写真のような貨車を連ねた貨物列車はなくなり、コンテナ車が中心になっている。
【撮影:佐野次郎 1984年頃 大船駅】

EF65形〈4号〉

EF65形電気機関車は、一般型、P形(ブルトレ牽引用)、F形〈高速貨物牽引用〉、PF形と長期間に渡って製造された機関車で、昭和50年代から近年まで首都圏ではよくみかける存在だった。
 1985年3月のダイヤ改正で、東京ー九州間のブルートレインの牽引機関車がEF66形に交代するまでは、国鉄を代表する電気機関車であった。
 中でも地味な存在ながら貨物輸送に日夜活躍を続けていたのが写真の一般型である。JR貨物に継承されてからは更新工事により塗装も一新して活躍を続けた。
 近年は新型機関車の登場により、EF65形も急速に数を減らしている。現在新製されているのはEF66形と同等のEF210形であり、EF65形に相当する新型機関車はない。
【撮影:佐野次郎 1984年頃 大船駅】

2009/11/13

200系新幹線電車

 200系新幹線電車は東北・上越新幹線の開業に備えて1980年に第1編成が完成した。1982年6月の東北新幹線大宮ー盛岡間、同年11月の上越新幹線大宮ー新潟間の開業にあわせて12両編成36本が揃えられた。
 その後1985年3月の上野ー大宮間開業や1991年3月の東京ー上野間開業による列車の増発に対応して増備され、最高速度を240km/hに引き上げた車両や先頭車の形状を100系に準じて変更した車両や二階建て車両も登場した。1990年までに700両が製造された。
 200系新幹線電車は0系のイメージを継承しているが、車体はアルミ製で耐寒・耐雪設備が大幅に強化されている。また主回路はサイリスタチョッパ制御を採用し、発電ブレーキと全電気式空気ブレーキを装備している。
 1997年から2001年にかけて10両編成12本のリニューアル改造を行い、老朽機器の交換・劣化部位の改修、塗装変更、アコモ改善を行った。E2系やE4系など新型車両の増備により、2004年3月のダイヤ改正でリニューアル編成を除いて定期運用から退いている。
【撮影:佐野次郎 2009.7.23高崎駅】

115系1000番台〈タカT1143編成〉

 115系近郊型電車は1963年から1983年の長期間に渡り1.921両が製造された。東海道線用の111系に電動機の出力強化、勾配・寒冷地対策を施した系列で当初は東北・高崎線に投入された。
 1000番台は1977年に長野・松本地区の旧形国電を置き換えるのを契機に登場した番台で、寒冷地対策の強化とクロスシートのピッチを広げたものである。1000番台は1982年までに651両が製作された。
 115系は1000番台も含めて宇都宮線・高崎線の主力として長く運用されてきた。上野口では「ありふれた」存在であったが、E231系の急速な増備によりあっという間に姿を消した。
 高崎地区では高崎車両センターに77両〈4両編成・3両編成各11本〉が配置され、信越本線高崎ー横川間、上越線高崎ー水上間、東北本線小山ー宇都宮間と両毛線・吾妻線の全線で運用されている。
【撮影:佐野次郎 2009.7.23高崎駅】

横川駅

 信越本線は長野新幹線の開業により分断され、高崎方は高崎ー横川間の折り返し運転となっている。日中は普通列車が1時間に1本程度の運転となっている。
 軌道は複線が維持されている。終点の横川駅は配線こそかなり整理されているが、広い構内や長いホームはそのままで、都市間輸送の要衝であったことをうかがわせる。
 駅弁で高名なおぎのやの「峠の釜めし」も盛業中で今もホームで食べることができる。
 信越本線の普通に使用されている107系電車は165系急行形電車を車体更新したものである。乗車していると警笛音やコンプレッサーの音が急行電車そのものであることが実感できる。
【撮影:佐野次郎 2009.7.23】

碓氷峠鉄道文化むら

 1999年4月に開業した碓氷峠文化むらは、高崎駅を起点とする信越本線の横川駅に隣接する鉄道の保存施設である。
 横川機関区跡を利用した敷地に実に50両近くの実物車両を展示している。写真の通り屋外の展示が中心であるが、EF80形電気機関車や10系軽量客車など大宮の鉄道博物館ではお目にかかることのできない貴重な車両が展示されている。
 鉄道を知る人にとっては、興味深い車両が多数展示されている素晴らしい施設である。屋外展示なのが心配ではあるが、長く続いてほしい施設である。
 私は一度行ってみたいと思っていたが、なかなか行けなかった。一度訪ねてみて大満足であった。
【撮影:佐野次郎 2009.7.23】