2012/01/22

東海道線の荷物電車

国鉄の分割・民営化に前後して投入された211系電車のE233系電車への置換えが、急ピッチで進んでいる現在の東海道本線東京口からは想像できませんが、80年代までは写真のような「荷物電車」が走っていました。
荷物輸送というのは、「国鉄がやっていた鉄道を使う宅配便」のようなもので、明治時代に始まり、国鉄の分割・民営化直前の1986年11月のダイヤ改正で全廃となりました。かつては駅に、乗車券売り場のほかに、荷物窓口というカウンターがあって荷物を受け付けていたのです。
東海道線の荷物電車は写真のように単独で走ることもあれば、旅客用の15両編成の電車に連結されて16両編成で走ることもありました。現在でも大船駅の東海道線上りホームの後方に一段低くなっている部分があるのはその名残です。また川崎駅にも痕跡が認められます。
写真の電車はクモユニ74形というもので、1962年に111・113系電車との併結用に導入されました。旧形電車の走行機器に、新製車体を組み合わせたものです。かつて新幹線の「ひかり」「こだま」で東京駅を発車すると、駅に止まっているのを見た方もおられると思います。
【撮影:佐野次郎 1985年頃 横浜ー川崎間】