2009年現在の日本でも、ひと握りの富裕層に富が集中し、中流層が徐々に消失しつつある。非正規労働の是非は別としたとしても、勤労に見合った所得が得られない層が増加しているのであれば、個人消費が伸びないのは当然だろう。しかし、東京には流行っている店もあれば、東海道線のグリーン車などは連日通勤客で満席である。
長嶋茂雄や村山実が生まれた昭和11年もそんな時代であったのではないか。当時の日本は競争も激しく、階級が強く意識された社会であったと言われている。華やかな1100形も10両の旧型車を5両で代替したわけだから、リストラ形の新製であったといえる。
とまれ、1100形は戦後にロングシート化され、さらにワンマンカーにも改造され、昭和47年の横浜市電全廃まで活躍した。1500形などに比べると古さは否めず、ワンマンカー表示やバックミラーを装備した姿にも、無理して長期間使用した感じは否めない。
【撮影:佐野次郎 2009.6.13横浜市電保存館】