2009/06/20

横浜市電10号

 横浜市電保存館の保存車両で一番奥に保存されているのが、無蓋貨車10号である。横浜市電保存館では7両の車両が保存されているが、路面電車の博物館としては国内で最多の両数である。
 横浜市電の路線の総延長は、最盛期でも約50kmであるから東京都電、名古屋市電、京都市電、大阪市電よりも短い。しかしこれらの都市には、これだけ大規模の路面電車の展示施設はない。
 10号貨車はレールの輸送など事業用車両として使用されていたようだが、明治時代には現在の北方小学校付近(横浜市中区北方町)にキリンビールの前進となったビール工場があり、市電の貨物電車を使用してビールを運んでいたそうである。
 10号貨車は横浜市電の全廃に際して、花電車として使用された。路面電車を走らせ続けるのは難しかったと思うが、これだけの規模の保存施設をよく整備できたものだと思う。
【撮影:佐野次郎 2009.6.13横浜市電保存館】