2009/06/20

横浜市電1601号

 横浜市電1600形は、横浜市電では最後の新製車両で、昭和32年に滝頭工場で6両が製作されたものである。市電保存館は滝頭車庫跡にあるわけであるから、製造された場所で新製から50年以上たった今も保存されているわけである。
 横浜市電では、唯一乗降用の扉に4枚折戸を採用している。4枚折戸の採用例は非常に珍しく、他には東京都電2500形や京都市電700形くらいしか思い浮かばない。また工作を容易にするため一部にバス用の部品を採用している。窓の上部がHゴムで固定されているのもそうだが、これは同時期に新製された国鉄のキハ10系気動車にも見出すことができる。
 市電保存館の開設当初は、クリーム色に青帯という現役最終時の塗装で保存されていたが、昭和58年に現在の建物に移ってからは、新製当初と同じ塗装に変更されている。
 最新の車両ではあったが、横浜市電の全廃に先立ち昭和45年に廃車された。中扉を降車用にすると、後輪で降車した乗客を轢く危険性があるため、ワンマンカーに改造することができなかったためである。
【撮影:佐野次郎 2009.6.13横浜市電保存館】