2011/06/11

リニア・鉄道館123-1.168-9001(東海道・山陽新幹線100系)

  東海道新幹線は1964年の開業以来、85年まで0系を増備し続けました。途中1000番台から窓が小さくなり、転換クロスシートだった腰掛がリクライニングシートになったりしましたが、基本設計は同じまま20年以上増備が続きました。
 国鉄の分割・民営化前夜ともいうべき1985年になってやっと、第二世代の新幹線として100系の試作編成が姿を現しました。丸みを帯びた0系とは異なり、すこし拗ねたような表情のニュー新幹線でした。山下達郎の歌が流れるCMを記憶している方もあるかと思います。
 サービス向上を目的として、車内のインテリアも0系に比べるとずいぶんと良くなりました。車内で停車駅や通過駅、ニュースなどのテロップを流すようになったのも100系からです。
 そして100系の目玉となったのは、個室を備えた二階建てのグリーン車と食堂車でした。100系は1986年6月に12両編成で暫定的に「こだま」に投入されましたが、1986年11月のダイヤ改正で二階建て車両2両を含む16両編成で「ひかり」に投入され、好評を博しました。

 食堂車は1階が調理室と廊下、2階が食堂となりました。眺めもよく、落ち着いて食事を愉しめるというわけですね。鉄道ならではのすばらしいサービスです。現在でも走る寝台特急「カシオペア」のダイニングカー(食堂車とは呼ばないんですね)も一回り小さいですが、こんなレイアウトです。
 1階の厨房で調理された食事は、エレベーターで2階の食堂に運ばれます。私は0系の食堂車は利用したことがありますが、残念ながら100系の食堂車を利用する機会がありませんでした。
 100系の食堂車で驚くのは食堂妻面のレリーフ。歴代の東海道線を走った車両たちが美しく描かれています。鉄道車両の域を越え工芸品に近い風格があります。リニア・鉄道館を訪問して初めて実際に見ましたが、これは素晴らしい。
 素晴らしい100系食堂車でしたが、試作車を含むX1~X7編成で増備が終了し、JR東海が1988年から92年にかけて製作したG1~G50編成では食堂車はカフェテリア方式の売店付きのグリーン車に変更されてしまいました。その他JR西日本では食堂車を含む二階建て車両4両を組み込んだ100系3000番台V1~V9編成を投入しました。
 写真の123-1は1986年7月に日立製作所で完成したもので、量産第一編成に相当します。2000年に廃車されています。168-9001は1985年3月日本車輌で完成したもので、試作編成です。2000年4月に廃車となりました。
【撮影:佐野次郎 2011.6.9】