2011/06/12

リニア・鉄道館クハ381-1

 1973年7月のダイヤ改正で中央西線・篠ノ井線の電化完成に伴い、特急「しなの」6往復に381系特急形電車が投入され、名古屋ー長野間を3時間20分で結びました。さらに1975年8月のダイヤ改正では2往復残っていたキハ181系の運用も381系に置き換えられました。
 381系電車は振り子電車で、カーブを通過するときに振り子のように車体を傾けることで通常の車両よりも20km/h速く通過できます。カーブの多い路線を高速化するにはもってこいの車両です。その後紀勢本線の特急「くろしお」の電車化、伯備線の特急「やくも」の電車化にも投入されました。
 私は中央東線の特急「あずさ」になぜ381系を導入しないのか不思議に思っていましたが、JR東日本が1990年代に振り子式のE351系を導入し、わが意を得たりと思いました。しかしE351系の製造は60両で中止となり、その後は非振り子式のE257系が大量投入されました。振り子電車は高価で国鉄時代も福知山線・高山本線への投入がボツになっています。
 写真のクハ381-1は1973年川崎重工で完成したもので、長野運転所に新製配置されました。1982年11月のダイヤ改正で「しなの」用の381系88両は神領電車区に転属しました。1996年11月に後継の383系に代替され、「しなの」定期運用から退きました。その後も381系は長野オリンピック輸送の臨時列車などに起用されましたが、1998年から2006年にかけて廃車されました。
【撮影:佐野次郎 2011.6.9】