205系電車は国鉄からJRへの移行期に登場した車両ですが、いわゆる国電の高性能電車のスタンダードを確立した101系・103系に比較すると進化が明確に感じられます。20m・両開き4扉という基本はそのままに軽量化と省エネルギー化を図っています。
軽量ステンレス車体を採用し、車内は大型の1段下降式窓によって採光も十分です。腰掛は201系から導入された濃淡のブラウンで着席区分をソフトに示すものです。天井はラインデリアの採用により平天井となり、扇風機は姿を消しました。
界磁添加励磁制御方式を採用し、直巻電動機を用いながらも回生ブレーキの使用が可能となりました。当時は導入コストの面でメリットが大きかったと思われます。ちなみに現在ではより保守性の負担が少ないと言われる誘導電動機の採用が主流となり、直巻電動機はブラシの保守に手間がかかるとされています。
写真のナハ11編成は1990年8月に川崎重工で完成し、中原電車区に新製配置されたものです。南武線への新車の投入も当時は注目されました。後継のE233系8000番代の投入により、2015年7月に廃車となりました。