小田急電鉄50000形「VSE」が2022年3月のダイヤ改正で定期運用を退き、イベント用に転用されたあとで2023年秋には引退するという発表に接し、非常に残念だと感じています。背景には小田急の特急の体質の変化と、VSEの先進性がゆえの早期退役があるように思います。
小田急の特急といえば、箱根への観光輸送の輸送がもともとは大きかったと思いますが、近年は着席通勤「走る休憩室」的な役割が増してきていました。そのためいわゆる連接構造のロマンスカーも編成数を減らし、30000形や60000形などマルチユースの車両が増えています。
50000形は乗り心地の改善と高速性能の充実を図るため、さまざまな新技術を取り入れています。床下機器もカバーで覆っていますので機器の艤装も独特のものでしょう。堅実な反面、新味の少なかった7000形は長期にわたって使用できた反面、50000形は改修を断念することになったと思われます。
写真の50002Fは、2005年2月に日本車両で完成したものです。早期の引退は残念ですが、箱根特急のテコ入れという導入意図は十分果たしたと思います。インバウンドでの観光需要の好調が持続していれば、改修しての継続使用やGSEの増備による代替もありえたと思います。