EF62形電気機関車は、横川ー軽井沢間を含む信越本線通し運転用の貨物・旅客用機関車として、急勾配区間での運転を可能とするための様々な特殊構造・装備を付加して導入されたものです。1962年5月に試作1号機、1963年3月から1969年12月にかけて量産2~54号機の合計54両が製造されました。
重連総括制御・勾配抑速発電ブレーキ・電気暖房装置など重装備が必要でありながら、総重量92t、軸重15.3tと信越本線の線路規格にあわせた重量軽減が必要となるため、軸配置をC-Cとし、車体の軽量化には工夫を凝らしていました。車体長17.200mmに、側面の大型ヨロイ戸や3軸台車により個性的なスタイルの電気機関車でした。
制御装置はCS16抵抗制御器・CS17バーニア制御器・CS18転換制御器、主電動機は出力425kWのMT52×6、電気暖房装置はMH-107-DM69です。台車はDT124、集電装置はPS17を装備していました。碓氷峠線内では上り列車ではEF63形による総括制御、下り列車では無線連絡による協調運転を行っていました。
写真の25号機は1964年7月に川崎車両・川崎電機で完成し、高崎第二機関区に新製配置されたもので第二次量産機に相当します。1984年2月に信越本線の直通貨物全廃により、EF58形の代替として下関運転所に転属し東海道・山陽本線の荷物列車牽引に転用されました。1986年11月の荷物列車全廃で運用を失い1987年2月に廃車となりました。