この9850形蒸気機関車は、急こう配区間であった東海道本線〈当時〉の山北ー御殿場間の補機として、1912年に導入されたものです。マレー式という大型・特殊な機関車でしたので昭和のはじめには国産のD50形に代替されて姿を消しました。
9856号機は1912年にドイツ・ヘンシェル社で完成したものです。1913年から1924年にかけて山北機関庫に配置されて活躍しました。
1927年から東京駅近くに開設された鉄道博物館に展示されたあと、1936年に万世橋〈神田〉に移転しました。国産の蒸気機関車に比べて大柄です。このような特殊な機関車がよく保存されていたものだと思います。
【撮影:佐野次郎 2010.4.12】