東武鉄道9000系電車は、営団地下鉄(当時)有楽町線への直通運転を目的として1981年に試作車を導入したものです。東武の通勤車では8000系以来20年ぶりの新製車の導入でした。量産車6編成の投入は、地下鉄乗入れ間近の1987年となり試作車の使用結果をもとに仕様は大きく変更されました。
量産車の車体は軽量ステンレス製となりました。前面の艶消し仕様や側窓の上部に丸みをつけるなど当時の仕様を取り入れてはいましたが、3社で製造するため工作が容易になるよう初期のステンレス車のような側面のコルゲート板を使用しています。
制御装置は地下鉄線内で高加減速性能が必須であることから、AFE式チョッパ制御を採用しました。主電動機は出力150kWの複巻電動機を装備しています。台車はS型ミンデン空気ばね式のTRS-86M/TRS-86Tを装備しました。
写真の9107Fは、1987年8月に富士重工で完成したものです。副都心線直通に対応するためのリニューアル工事を2007年11月に完了しています。東急線内では東京地下鉄7000系に次いでベテラン感のある車両になっています。