写真の8500形は1990年5月に8501号車が営業運転を開始したもので、都電荒川線として初めて新規に製造した電車でもあります。7500形から数えて既に26年が経過していました。
車体のデザインはやや丸みを帯びたもので、当時の楽観的な世相を反映しています。そういえば当時経済学者の飯田経夫さん〈故人〉が「豊かさとは何か―現代社会の視点」という新書を書かれていて、「後から考えると、一番良かった時代と将来回想することになるだろう」と述べられていました。当時はもっと良くなるという人も大勢いましたが、実際には飯田さんの云われた通りになっているようです。
少し脱線してしまいましたが、8500形は主回路にVVVFインバーター制御を採用し、技術的にも飛躍的な進歩を遂げています。また車体のサイズも在来の車両より少しだけ大きくなっています。
写真の8504号は1993年4月にアルナ工機で完成したものです。残念ながら8500形は8504号と同時に完成した8505号車で製造が中止されてしまいました。