私は本線を走る蒸気機関車はを見たことは一度しかありません。学生の頃、合宿先の水上のホテルの温泉からD51形の498号機が走るところを見ました。なにしろ石炭をボイラーで燃焼させて発生した蒸気で車輪を動かすという代物ですから凄い迫力でした。
乗務員の勤務も過酷なものでした。Rail Magazine誌に「SL甲組」の肖像という連載がありますが、SLを動かすということが大変なことだということがよくわかります。そういえば昔「新幹線大爆破」という映画で、千葉真一扮する新幹線の運転士が、速度を落とすと爆破されてしまうという状況にいらだち、「SLなら犯人の自由にさせないのに」というようなことをいって悔しがるという場面がありました。それだけSLの乗務員の役割は重かったのでしょう。
写真の452号機は、1940年に汽車会社で完成したものです。東北本線などで活躍したあと、最終的には関西本線など使用されていました。汽車会社という会社は1972年に川崎重工に吸収されたので今はありません。東京メトロ東西線の東陽町駅に近い江東区の砂町に東京製作所がありましたが、現在ではちょっと想像できないですね。
【撮影:佐野次郎 1992.3.1】